- ラップメタルってどんなジャンル?
- どんなバンドがいる?
- 名盤をまとめて教えてほしい
こんな疑問にお答えします。
この記事は元外資系CDショップのメタルバイヤーでメタル歴25年のゆうきち@yukichi_campが書いています。
まずはラップメタルとは?からざっくりと解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
- ラップメタルとは
- ラップメタルおすすめの名盤12選
- 1. RAGE AGAINST THE MACHINE「Rage Against The Machine」(1992)
- 2. LIMP BIZKIT「Three Dollar Bill, Y’all」(1997)
- 3. O.S.T「Judgement Night」(1993)
- 4. BODY COUNT「Body Count」(1992)
- 5. STUCK MOJO「Snappin’ Necks」(1995)
- 6. CLAWFINGER「Use Your Brain」(1995)
- 7. BIOHAZARD「Urban Discipline」(1992)
- 8. ORANGE 9mm「Driver Not Included」(1995)
- 9. DOG EAT DOG「Play Games」(1996)
- 10. (HED)P.E.「Broke」(2000)
- 11. METHODS OF MAYHEM「Methods Of Mayhem」(1999)
- 12. RISE OF THE NORTHSTAR「Welcame」(2014)
- 【ラップメタル名盤12選】まとめ
ラップメタルとは
ラップヴォーカルを乗せたヘヴィメタルを「ラップメタル」と呼びます。
90年代のオルタナティブロックの流れから出てきたジャンルで、通常は「ミクスチャーメタル」のなかに含まれます。
「ラップメタル」と「ミクスチャーメタル」の線引きは曖昧で、ほとんど差がありません。
ですが、今回は以下の定義で区別しています。
- ラップメタル→メタル度の高いサウンドにラップヴォーカルを乗せたもの。
- ミクスチャーメタル→メタルにファンク、レゲエ、ヒップホップなど異ジャンルをミックスしたもの。
歴史
1986年、ヘヴィメタルとヒップホップが急接近します。
ヒップホップグループRUN D.M.C.がAEROSMITHの代表曲「Walk This Way」を大胆にヒップホップカバー。
スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーもレコーディングに参加した同曲は全米シングルチャート4位とヒットしました。
また、ハードコアバンドからヒップホップグループへ転身したBEASTIE BOYSのデビューアルバム「Lisenced To Ill」が全米アルバムチャート7週連続1位を記録。
LED ZEPPELINやBLACK SABBATHの楽曲をサンプリングし、SLAYERのケリー・キングが「Fight For Your Right」「No Sleep Till Brooklyn」でギターを弾くなどメタルファンからも注目を集めました。
上記ヒットの仕掛け人は音楽プロデューサーのリック・ルービン。
メタルとヒップホップを愛するリック・ルービンは次のふたつのレコードレーベルを運営していました。
①デフ・アメリカン(現アメリカン・レコーディングス)
【在籍アーティスト】
- SLAYER
- DANZIG
- RED HOT CHILI PEPPERS
- SYSTEM OF A DOWN など
②デフ・ジャム(ヒップホップ/R&B専門レーベル)
【在籍アーティスト】
- RUN-D.M.C.
- PUBLIC ENEMY
- BEASTIE BOYS など
このことからも、メタルとヒップホップの融合は必然だったのでしょう。
ラップメタルの歴史はリック・ルービンから始まったと言っても過言ではありません。
この頃からメタルとヒップホップのコラボが盛んになっていきます。
おもな作品は以下のとおり。
- ANTHRAX「I’m The Man」EP(1987年)
- SIR MIX-A-LOT × METAL CHURCH「Iron Man」(1988年)
- PUBLIC ENEMY × ANTHRAX「Bring The Noise」(1991年)
同時期に、ファンクやヒップホップをメタルに取り込んだ
- RED HOT CHILI PEPPERS
- FAITH NO MORE
などのミクスチャーメタルバンドも登場。
メタルとヒップホップの垣根が低くなるなか、ラップメタルシーン最重要バンドであるRAGE AGAINST THE MACHINEが1992年にデビューします。
RAGE AGAINST THE MACHINEはポリティカルなメッセージを乗せたラップとグルーヴィーなヘヴィサウンドで【ラップメタル】というジャンルを確立。
デビュー作「Rage Against The Machine」は全世界で500万枚以上のセールスを記録し、日本でも15万枚を売り上げた90年代を代表する名盤です。
翌1993年には映画「ジャッジメント・ナイト」のサントラが話題に。
- SLAYER
- HELMET
- BIOHAZARD
- FAITH NO MORE
らメタルバンドと
- HOUSE OF PAIN
- RUN D.M.C.
- ICE-T
- CYPRESS HILL
などのヒップホップアーティストが鬼気迫るガチンコ勝負。
サントラ盤ながらも、ラップメタルを語るうえで外せない名盤です。
90年代後半になるとラウドロック/ニューメタルムーブメントとともにLIMP BIZKITがシーンを牽引。
1999年作「Significant Other」2000年作「Chocolate Starfish And The Hot Dog Flavored Water」を2作連続で全米アルバムチャート1位へ叩き込むなど、当時の勢いは凄まじいものでした。
その他にも、
- ICE CUBE × KORN「Fuck Dying」(1998年)
- DMX × MARILYN MANSON「The Omen」(1998年)
- BUSTA RHYMES × OZZY OSBOURNE「This Means War!」(1999年)
など、大物アーティスト同士のコラボも盛んに行われ、ラップメタルは絶頂期を迎えます。
しかし、2000年代に入るとRAGE AGAINST THE MACHINEが解散、LIMP BIZKITから主要メンバーのウェス・ボーランド(Gt)が脱退するなど、カリスマを失ったシーンは急失速。
ラウドロック/ニューメタルムーブメントの終焉とともに、ラップメタルも下火となっていきました。
おもな特徴
- アッパー
- 爆発力
- 跳ねるリズム
- グルーヴ
ラップメタルおすすめの名盤12選
▶各楽曲30秒試聴できます!
1. RAGE AGAINST THE MACHINE「Rage Against The Machine」(1992)
ラップメタルのパイオニアによる革命的デビューアルバム。
LED ZEPPELIN彷彿のブルージーにうねるヘヴィリフと弾力のあるリズムが極太グルーヴを生み出す。
ザックによる衝動と闘争心に満ちたアジテーションもアツい。
おすすめ曲:1、2
2. LIMP BIZKIT「Three Dollar Bill, Y’all」(1997)
KORNの後押しを得てリリースしたデビューアルバム。
ザラザラに歪んだ荒々しいヘヴィネスとフレッド・ダーストのブチ切れラップにテンション爆上がり。
ウェス・ボーランドのクセとセンスの塊のようなギタープレイも聴きどころ。
おすすめ曲:2、3
3. O.S.T「Judgement Night」(1993)
映画「ジャッジメント・ナイト」のサウンドトラック。
メタル/ロックバンドとヒップホップアーティストが一対一のガチンコ勝負をした画期的な一枚。いわゆるコンピレーション作品だが散漫さはなく、ひとつの作品として成立している。
なかでも5.のSLAYER vs. ICE-Tは互いに刺し違えるかのような緊迫感。
おすすめ曲:1、5
4. BODY COUNT「Body Count」(1992)
ヒップホップ側からメタルへアプローチした数少ないアーティスト、ICE-Tが結成したメタルバンドのデビューアルバム。
伝統的HMのフレーバーが色濃く、まさにラップとメタルのミクスチャーである。
警察批判をしたリリックが物議を醸した「Cop Killer」はアルバムから削除されてしまった。
おすすめ曲:2、12
5. STUCK MOJO「Snappin’ Necks」(1995)
USアトランタ出身のラップメタルバンドのデビューアルバム。
ラップこそ軽妙だが、ゴリゴリズンズン迫るモダンヘヴィリフは純度100%ヘヴィメタル。
メタラーからはミクスチャーと言われ、ミクスチャーファンからはメタルと言われる不遇のバンド。
おすすめ曲:1、6
6. CLAWFINGER「Use Your Brain」(1995)
スウェーデン出身のラップメタルバンドの2nd。
ザクザクのメタルギターにサンプリングを絡ませたインダストリアル風味のラップメタル。
北欧ならではの機能美とフックは、USマッチョ系ラップメタルとは一線を画す。
おすすめ曲:1、2
7. BIOHAZARD「Urban Discipline」(1992)
NYHC(ニューヨークハードコア)の首領BIOHAZARDの2nd。
ラップメタルとして語られることは少ないが、跳ねるリズムやラップヴォーカル、サウンドからにじみ出るリアルなストリート感覚は完全にラップメタル。
そもそも90年発表のデビュー作で、すでにハードコアとヒップホップの融合を済ませている。BIOHAZARD=「ラップメタルの元祖」説もアリでは!?
おすすめ曲:1、3
8. ORANGE 9mm「Driver Not Included」(1995)
NYHCレジェンドBURNの元シンガー、チャカ・マリクが結成したバンドの1st。
ポストハードコアとモダンヘヴィネスを融合したような、緩急自在の展開としなやかなグルーヴが気持ちいい。
チャカ・マリクの堂々たる歌とラップも説得力充分で、作品に深みを与えている。
おすすめ曲:1、2
9. DOG EAT DOG「Play Games」(1996)
NYHCシーンから出てきたラップ/ミクスチャーメタルバンドの2nd。
躍動感溢れるホーンセクションとスポーティーなノリにメタルギターが絡む、明るく楽しいラップメタル。
ロニー・ジェイムズ・ディオとの異色のコラボ7.が物議を醸した。
おすすめ曲:1、7
10. (HED)P.E.「Broke」(2000)
USカリフォルニア出身のラップメタルバンドの2nd。
緊張感漂うトラックにガチのラップを乗せたヒップホップ寄りのラップメタルを聴かせる。
ジャジーな静パートや歌メロも魅力で、やんちゃなだけではない大人のラップメタル。
おすすめ曲:1、4
11. METHODS OF MAYHEM「Methods Of Mayhem」(1999)
MOTLEY CRUEのトミー・リーが結成したラップメタルバンドの1st。
フレッド・ダースト(LIMP BIZKIT)やキッド・ロック、スヌープ・ドッグらをゲストに迎え、クオリティの高いラップメタルを鳴らす。
トレンドを捉える嗅覚とセンスはいかにもトミー・リーらしい。
おすすめ曲:1、4
12. RISE OF THE NORTHSTAR「Welcame」(2014)
フランス出身のハードコア/ラップメタルバンドのデビューアルバム。
メタリックハードコアとヒップホップを融合し、なぜか日本の不良文化にインスパイアされてしまったオタク系ラップメタル。
サウンドはガチながらも、日本人ならクスッと笑ってしまうネタが満載。
おすすめ曲:1、4
【ラップメタル名盤12選】まとめ
以上、ラップメタルの名盤を紹介しました。
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