- スラッジメタル/ストーナーロックってどんなジャンル?
- どんなバンドがいる?
- 名盤をまとめて教えてほしい
こんな疑問にお答えします。
この記事は元外資系CDショップのメタルバイヤーでメタル歴25年のゆうきち@yukichi_campが書いています。
まずはスラッジメタル/ストーナーロックとは?からざっくりと解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
- スラッジメタル/ストーナーロックとは
- スラッジメタル/ストーナーロックおすすめの名盤10選
- 1. DOWN「Down II」(2002)
- 2. EYEHATEGOD「Take As Needed For Pain」(1993)
- 3. CROWBAR「Crowbar」(1993)
- 4. RAGING SPEEDHORN「Raging Speedhorn」(2000)
- 5. THOU「Heathen」(2014)
- 6. SLEEP「Dopesmoker」(2003)
- 7. KYUSS「Blues For The Red Sun」(1992)
- 8. FU MANCHU「The Action Is Go」(1997)
- 9. MONSTER MAGNET「Superjudge」(1993)
- 10. SPIRITUAL BEGGARS「Mantra III」(1998)
- 【スラッジ/ストーナー名盤10選】まとめ
スラッジメタル/ストーナーロックとは
▶スラッジメタル
【Sludge = 泥、ぬかるみ】の意味のとおり、ぬかるみをズルズルと引きずるような感覚のヘヴィメタル。サザンロックのテイストがあります。
▶ストーナーロック
「ストーナー」の語源は【Stoned = ラリった、もうろうとした】からきています。トリップ感覚をともなうダウナーなハードロック。
類似ジャンルであるドゥームメタル同様にスロー&ヘヴィという特徴はほぼ共通しています。
歴史
「ヘヴィメタルの始祖」BLACK SABBATHが70年代に鳴らした「スロー&ヘヴィ」なサウンドはハードロック/ヘヴィメタルのみならず、ハードコアやオルタナティブロックにも波及しました。
BLACK SABBATHの影響をヘヴィメタルのフィールド内で純粋培養したものがドゥームメタル。
スラッジメタル/ストーナーロックはBLACK SABBATHに加えて、ハードコアやオルタナティブロックからの影響を取り込み、80年代末に誕生しました。
スラッジメタル/ストーナーロックに影響を与えたハードコア、オルタナティブロック作品には次のようなものがあります。
【ハードコア】
- BLACK FLAG「My War」(1984)
- CORROSION OF CONFORMITY「Eye For An Eye」(1984)
【オルタナティブロック】
- MELVINS「26 Songs」(1986/オリジナルは「Six Songs」)
- SOUNDGARDEN「Screaming Life」(1987)
どれもBLACK SABBATHのエッセンスを色濃く反映した作品ですね。
スラッジメタル/ストーナーロックの影響源をまとめると以下のとおり。
【スラッジメタルの影響源】
- BLACK SABBATH
- ドゥームメタル
- ハードコア
- サザンロック
EYEHATEGOD、CROWBARなどアメリカ南部ニューオリンズを拠点とするバンドが多いため、サザンロックなどの南部フィーリングを備えています。
【ストーナーロックの影響源】
- BLACK SABBATH
- 70年代ハードロック
- ハードコア
- サイケデリック
同時代のオルタナティブロック/グランジと共通点が多いです。70年代ハードロックをそのままヘヴィにしたようなサウンドで、メタリックな感触はありません。
もともと両ジャンルはサウンドが似ているため境界線は非常にあいまいです。
スラッジメタルとストーナーロック、さらにドゥームメタルが混ざり合っているケースも多く、シーンを語るうえでこの3ジャンルをひとくくりにする場合もあります。
おもな特徴
- 重い
- スロー&ミドルテンポ
- 反復リフ
- 横揺れグルーヴ
【スラッジメタル】
- 暗い
- スクリームヴォーカル
- サザンロック
【ストーナーロック】
- レトロ
- サイケデリック
- 乾いたサウンド
スラッジメタル/ストーナーロックおすすめの名盤10選
▶各楽曲30秒試聴できます!
1. DOWN「Down II」(2002)
フィル・アンセルモ(PANTERA)がEYEHATEGOD、CROWBAR、CORROSION OF CONFORMITYのメンバーと結成したスラッジオールスターバンドの2nd。
ニューオリンズのルーツミュージックにどっぷり浸かった情念のヘヴィロック。
硬軟を巧みに使い分け、味わい深くもキャッチーに仕上げた楽曲はどれも即効性バツグン。
おすすめ曲:2、4
2. EYEHATEGOD「Take As Needed For Pain」(1993)
USニューオリンズ出身のスラッジメタルの先駆者による2nd。
ドゥームメタル×ハードコア×サザンロック=スラッジメタルを世に知らしめた名盤。
ビリビリとしたハードコア由来の激音で鳴らす極太リフが地を這う様はド迫力。
おすすめ曲:1、3
3. CROWBAR「Crowbar」(1993)
フィル・アンセルモ(PANTERA)がプロデュースした、USニューオリンズ出身のスラッジメタルバンドの2nd。
窒息しそうなほどの圧殺ヘヴィネスを誇るドゥーミーなスラッジメタルの名盤。
カーク・ウィンドスタイン(Vo、Gt)のリフ作りの巧妙さと、がなり立てつつも情感豊かなヴォーカルが肝。
おすすめ曲:1、2
4. RAGING SPEEDHORN「Raging Speedhorn」(2000)
UK産スラッジ/グルーヴメタルバンドの1st。
血気盛んなツインヴォーカルと岩石のような轟音がうねりまくる名盤。
当時はニューメタルの流れから出てきたが、重く引きずるリフはスラッジそのもの。
おすすめ曲:1、2
5. THOU「Heathen」(2014)
USルイジアナの新世代スラッジメタルバンドの4th。
陰鬱で殺伐とした激重スラッジ/ドゥームに叙情性とアート性を持ち込んだ一枚。
決して耳なじみの良いサウンドではないものの、このドス黒く病んだ世界観に不思議と惹きつけられる。
おすすめ曲:4、9
6. SLEEP「Dopesmoker」(2003)
いまや「ストーナー神」と崇められる、USカリフォルニアのドゥーム/ストーナーバンドの3rd。
1曲63分という常軌を逸した内容から、レコード会社が発売を拒否したぶっとび名盤。
延々と鳴らされるリフを「快楽」と感じるか「拷問」と感じるか、あなたはどっち?
おすすめ曲:1
7. KYUSS「Blues For The Red Sun」(1992)
USカリフォルニア出身のストーナーロックの先駆者による2nd。
砂漠の蜃気楼を見ているようなトリップ感と横揺れグルーヴでストーナーロックを定義づけた名盤。
次作「Welcome To Sky Valley」が最高傑作と言われるが、メタルファンには整合感のある本作がおすすめ。
おすすめ曲:1、2
8. FU MANCHU「The Action Is Go」(1997)
ドラマーにブラント・ビョーク(KYUSS)を迎えたUSカリフォルニア出身のストーナーロックバンドによる4th。
砂ぼこりを巻き上げるハードドライヴィンなサウンドと脱力ヴォーカルが妙にマッチ。
ストーナー云々関係なく、単純にロックンロール/ブギーとしてかっこいい。
おすすめ曲:1、3
9. MONSTER MAGNET「Superjudge」(1993)
USニュージャージー出身のストーナー/スペースロックバンドの2nd。
リフロックとしても優秀なうえに、ドラッギーなサイケグルーヴで脳がヤラれてしまう名盤。
目を閉じて聴いてください、めちゃくちゃ気持ちいいので。
おすすめ曲:2、3
10. SPIRITUAL BEGGARS「Mantra III」(1998)
マイケル・アモット(CARCASS、ARCH ENEMY)によるストーナー/ヘヴィロックバンドの3rd。
70年代型ハードロックをヘヴィサウンドと多彩なアレンジで再構築した一枚。
マイケルらしいメロディアスなパートもあり、US勢とは異なる魅力に溢れる。
おすすめ曲:2、4
【スラッジ/ストーナー名盤10選】まとめ
以上、スラッジメタル/ストーナーロックの名盤を紹介しました。
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